当院の消化器内科について

当院では、消化器・内視鏡専門医の視点だけでなく総合内科医として、一般診療から専門性の高い治療まで幅広く診療しています。

これまで得た知識や技術、経験を生かし、より良い医療を皆様に提供し満足頂けるよう、日々努力して行きたいと思います。

同じ病気でも、その程度や症状は人により異なります。何かありましたら、遠慮なくご相談ください。

消化器内科とは

消化器内科は、腹痛・下痢・嘔気・嘔吐といったおなかの症状を診療する科です。

おなかの痛みには軽いものから命にかかわるような重篤な病気があり、最初は軽い症状でも重症化することがあるため、早期に診断し適切に対処する必要があります。

消化器内科=おなかの病気をみる診療科

どうやって診断・治療するの?

まず問診をおこない患部を予想します。おなかには、さまざまな重要な臓器があるため問診だけで適切な薬を処方することが難しいことが多くあります。そのため、採血・内視鏡・CT・超音波・レントゲンといった5つの神器を使いこなし、病気を診断し治療します。

<5つの神器>

  • 採血
  • 内視鏡
  • CT
  • 超音波
  • レントゲン

検査の特徴

採血:炎症の有無や、腎障害・肝障害について調べることができます。

腹部レントゲン:おなかのガスの分布や便秘の有無、腸管の長さや走行を調べます。

腹部CT:肝臓・膵臓・胆嚢・腎臓・骨の評価ができます。痛みの部位に強い炎症や腫瘍がないか調べます。エコーに比べ肥満のかたでも評価できます。

内視鏡:CTよりも胃・腸の評価がより詳しくすることができます。

エコー:肝臓、胆管・胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓など臓器を対象として検査を行っています。

脂肪や消化管ガスの存在等の検査条件により正確な診断ができない(特に膵臓)場合もあります。

急性腹症

急におなかが痛くなることを、急性腹症と呼びます。急性腹症は命にかかわるような重篤な病気が隠れていることもあり、緊急手術を含む迅速な対応が必要になることがあります。ここでは急性腹症の代表的な病気を解説します。

急性腹症の原因

おなかの右下が痛くなる場合

(1)急性虫垂炎

虫垂とは盲腸から細く伸びる器官で、硬い便や食事の残渣などにより虫垂の中が詰まり、感染を起こすことを急性虫垂炎といい、一般に“もうちょう”と呼ばれることもあります。初期には吐き気や、食欲低下とともにみぞおちの痛みが出ることがあり、数時間後に右下のおなかの痛みに移動することがあります。CTや超音波をもちいて診断をしますが、発症初期は、これらの検査を駆使してもわかりにくいことがあります。

採血結果など、総合的に診断し、患者さんの希望や病状にあわせて、手術や抗生剤加療(ちらす)といった治療を提案させていただきます。

入院期間は、抗生剤は7~10日、発症早期に手術した場合は3~4日が目安となります。

便秘、吐き気とともにおなかが痛くなる場合

(2)腸閉塞

さまざまな原因で腸の内で消化物の通過が悪くなった状態のことを腸閉塞といいます。おなかの手術をしたことがある方に起こりやすく、嘔吐、便秘、おなかの張りを伴います。大腸がんが原因のこともあり、CT検査で適切に評価のうえ、対応する必要があります。

急な吐き気、下痢がある場合

(3)急性胃腸炎

急な吐き気、下痢がある場合、急性腸炎を疑います。急性胃腸炎には、ウイルス性腸炎と、細菌性腸炎(食中毒)があり、カキなどの二枚貝を生で食べた際に感染するノロウイルスや、生の鶏肉を食べた際に感染するカンピロバクター菌などが知られています。

診断には、超音波、CTが有用です。

ウイルス性胃腸炎は、48時間以内に軽快することが多く、細菌性腸炎は48時間以降も下痢や発熱が持続します。

治療は,ウイルス性胃腸炎の場合、水分補給となります。細菌性腸炎の場合、抗生剤を処方することがあります。

2~3週間以上つづく、慢性下痢の場合、クローン病や潰瘍性大腸炎のこともあるため内視鏡検査をすすめています。

食後や夜間に突然、みぞおちや右上のおなかが痛くなる場合

(4)胆石症、急性胆嚢炎、急性胆管炎

ピザやカレーなど脂肪分が多く含まれる食事をしてから数時間後に生じた腹痛は、胆石症の可能性があります。胆石症が原因の腹痛は、右上のおなかや、みぞおちに生じるという特徴があります。痛みは非常に強く、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。また、胆石が胆汁の出口を塞ぎ、胆嚢や胆管内で細菌が増殖すること炎症を引き起こすことを急性胆嚢炎、急性胆管炎といいます。右上のおなかに強い痛みとともに発熱や背中の痛みを伴うことが多く、ひどくなると黄疸が現れます。

診断には、超音波、CT、MRIが有用です。

治療法は抗生剤、内視鏡治療、手術があります。

入院期間は7~10日が目安となります。

おなかが限局的に痛くなる場合

(5)大腸炎

消化管の壁が一部分のみ袋状に外側へとび出た状態のことをといい、大腸によく見られます。多くの憩室が無症状ですが、内部が便などで満たされ、細菌が増殖することで炎症を引き起こすことを大腸憩室炎といいます。中高年に多く認められ、右下のおなかが痛くなることもあるため、急性虫垂炎と区別することが大切です。

診断には、CTが有用で、抗生剤加療を必要とします。

原則、入院期間は7~10日が目安となります。

食後や空腹時におなかが痛くなる場合

(6)胃・十二指腸潰瘍

食後の腹痛は胃潰瘍の代表的な症状といわれており、吐き気や嘔吐が伴うこともあります。

空腹時におなかが痛くなるのは、十二指腸潰瘍の典型的な症状のひとつです。潰瘍がひどくなると、粘膜が大きくえぐれて出血し、吐血や 黒色便を引き起こすことがあります。また出血がない場合も、潰瘍が深くなると胃や十二指腸に穴が開くすることがあり注意が必要です。

胃十二指腸潰瘍は、ピロリ菌や痛み止めが原因の大部分をしめます。

診断には、内視鏡が最も有用です。

深い潰瘍や出血した場合は入院する必要があり、7~10日前後が入院の目安になります。

飲酒の後にみぞおちや背中が痛くなる場合

(7)急性膵炎

膵臓は膵液と呼ばれる消化酵素を分泌しています。急性膵炎は、膵液によって膵臓および周囲の臓器が消化されることにより炎症が生じる病気です。急性膵炎の原因は、アルコール多飲や胆石があります。

症状は、時間の経過とともに胃に鋭く刺すような痛みが急激に広がり、やがて立っていられないほど激しいものになります。高熱や嘔吐などを伴うことが多く、重症化すると意識障害やショック状態を引き起こして死に至ることもある危険な病気です。診断にはCTやMRIが有用です。

治療法は、禁食、点滴、蛋白分解酵素阻害薬などをおこないます。

入院期間は、14~30日が目安となります。

脇腹や背中に鋭い痛みが走る場合

(8)尿路結石

腎臓や尿管といった尿の通り道に結石が詰まった状態を尿路結石といい、結石が狭い尿管内を通るときに激しい痛みを引き起こし、血尿を伴うこともあります。その痛みの激しさは、ヒトが経験する痛みの度合いのなかでもトップクラスといわれています。また、結石によってダメージを受けた部位に細菌感染が生じると、腎臓まで波及してを引き起こすこともあります。

診断には、CTが有用です。

治療法は、小さな結石の場合は自然に排石されるため痛みどめと水分補給をおおないます。大きな石の場合、尿管ステントや石を砕く治療をおこないます。

突然に下のおなかが痛くなる場合

(9)産婦人科疾患

女性における急性腹症の原因として、産婦人科疾患も多く認められます。なかには骨盤内炎症性疾患卵巣茎捻転子宮外妊娠卵巣出血など、迅速な治療が必要な病気の可能性もあるため注意が必要です。

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